【2025年版】算定基礎届の基礎知識と実務ポイントを社労士が解説!

こんにちは、社会保険労務士の安生です。
労働保険の年度更新と同時期に対応が必要となる手続きに「算定基礎届(定時決定)」の提出があります。
今回は算定基礎届の基本から作成・提出方法まで、実務担当者の皆様にとって役立つ情報をわかりやすく解説します。

目次

算定基礎届とは?

算定基礎届は、従業員の社会保険料(※標準報酬月額)を決定するために、毎年1回提出が義務付けられている書類です。この届出に基づいて、9月から翌年8月までの社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が決定されます。

毎年7月1日現在で在職している従業員について、4月〜6月の給与をもとに標準報酬月額を決定します。これを「定時決定」といい、その届出書類を算定基礎届といいます。

※標準報酬月額とは・・・?
 実際の給与額を一定の等級に当てはめたもので、これを基に保険料が計算されます。

提出時期と提出先

  • 提出時期:7月10日まで

  • 提出先:年金事務所、事務センター、又は電子申請

算定基礎届の重要性

なぜ算定基礎届が必要なのでしょうか?

1.適正な社会保険料の算定
 従業員の正確な報酬に基づいた保険料を算定するため

2.法令遵守
 算定基礎届は法律で定められた義務であり、不提出は法令違反となる

3.従業員の将来の年金額
 標準報酬月額は将来の年金額に直結するため

対象となる従業員は?

毎年7月1日時点で在籍している社会保険加入者全員が対象になります。
ただし、以下の方は定時決定(算定基礎届)の対象者から外れます。

・6月1日~7月1日までの間に社会保険に加入した人(資格を取得した人)
・7月から9月までの間に随時改定(昇給等による報酬の大幅な変動に伴う改定)が行われる人、又は行われる予定のある人
・7月から9月までの間に産前産後休業終了時改定または育児休業等終了時改定が行われる人、又は行われる予定のある人

算定基礎届の作成手順

1.対象期間の報酬を集計する
4月・5月・6月の3ヶ月間に支給された報酬を集計します。報酬には基本給のほか、各種手当(残業手当、通勤手当、住宅手当など)も含まれます。ただし、以下は報酬に含めません。

 ・臨時に支払われるもの
 ・3ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの(賞与)
 ・出張旅費など実費弁償的なもの 等

また対象期間の各月の報酬支払基礎日数(※)が17日未満(一定の者は11日)の月がある場合は、その月は除くことに注意が必要です。

 ※報酬支払基礎日数とは・・・?
  各月の報酬額を決定する時に計算の基礎となった日数のことを言います。
  具体的には以下のように算定します。
  ・月給者は各月の歴日数
  ・月給者だが欠勤によって給与が差し引かれる場合は、会社が定めた日数から欠勤日数を引いた日数
  ・日給者は各月の出勤日数

2.報酬月額を算出する
3ヶ月間の報酬合計額を3で割り、報酬月額を算出します。

3.標準報酬月額を決定する
算出した報酬月額を、社会保険の等級表に当てはめて標準報酬月額を決定します。
【例】報酬月額が250,000円の場合 → 標準報酬月額は260,000円(第20等級※厚生年金は17等級)

効率的な提出方法

算定基礎届の提出方法は郵送が一般的ですが、電子申請が便利です。(一定の企業は電子申請が義務化されています。)

【電子申請のメリット】
 ・ペーパーレス
  紙の書類作成や保管が不要
 ・ 時間短縮
  窓口へ行く必要がない
 ・24時間対応
  業務時間を気にせず提出が可能
 ・記入ミスの削減
  給与ソフトや労務ソフトから申請を行えば手書きによるミスや手間が省ける

【電子申請のデメリット】
 ・電子証明書の取得が必要になるのでお金がかかる。(GビズIDを取得して無料でできる電子申請もあり)
 ・電子申請するための環境構築の手間がかかる。(e-Govアカウント登録やGビズIDアカウント登録)
 ・労務ソフトなどから電子申請を行う場合はシステム費用が発生する。

まとめ

算定基礎届は一見シンプルに見えて、実際には細かい判断が求められる場面も多い手続きです。
間違えると保険料の過不足や将来の年金額に影響する可能性もあります。

手続きでお困りの際は、当事務所にご相談ください。書類作成から電子申請のサポートまで、幅広く
お手伝いいたします。

お問い合わせ

算定基礎届に関するご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

目次